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2016/10/9




 
[プロフィール]

 百合道子
 
 添田千恵子

 

講演会&コンサート 第2部   愛にちなんだ歌と語り

2010/10/3(日) 大磯町、海の見えるホールにて

百合道子コンサート

歌と語り  : 百合道子
 ピアノ伴奏 : 添田千恵子

本日は講演会の後の歌ということで大路先生のご本を拝読いたしまして、主人公・陸奥亮子の折々の気持に即した愛の歌を選んでお届けしたいなと思っております。
お気樂に亮子の胸の内などに思いをはせながら聞いていただきたいと思います。

平城山(ならやま)   (詩 北見志保子、曲 平井康三郎)
奈良の北部の小高い丘、平城山にまつわる伝説。
仁徳天皇の奥さん、磐之媛(いわのひめ)は天皇から突然、「別の人と結婚したいから許してくれ」と言われて、烈火の如く怒った。
「そんなことするなら、あたしは里へ帰らせて頂きます」
なんと磐之媛は平城山を越えて実家に帰ってしまった。

しかし、実家へ帰った後も仁徳天皇を慕う歌を残しているので、決して心底嫌いになって帰ったわけではなく、天皇のことを心に思いつつ、「許せない」との一念で平城山を越えていったという。
この故事にちなんで北見志保子さんが古式ゆかしい詩を書いておられます。
「人を恋するということは哀しいものです。平城山を当てどもなくさまよいながら、堪え難いつらさ、切なさを覚えた奈良時代の磐之媛のように、私も平城山の山路につらい恋の涙を落としました」

宵待草    (詩 竹久夢二、曲 多 忠亮)
亮子は芸者さんでした。あの人は今日来てくれるのかしら・・・、私のこと思ってくれるのかしら・・・、 なかなか来ない陸奥を置屋で首を長くして待っていたんじゃないかと。この詩を書いたのは美人画で有名な竹久夢二です。夢二の絵は、たおやかな、はかなく消えていきそうな美人画なんですが、置屋の窓辺に座りながら陸奥を待っている亮子の姿を夢二が描いたらすごく絵になるんじゃないかなと思ってこの曲を選びました。

     ≪待てど 暮らせど 来ぬ人を ≫
      ≪宵待草の やるせなさ≫
      ≪今宵は月も 出ぬそうな≫

出  船   (詩 勝田香月、曲 杉山長谷夫)
陸奥が外国へ行く時、亮子はこの詩のとおりの気持で帰りを待っていたんじゃないかと思います。 ちょうどここ(海の見えるホール)から海が見えます。あの向うはアメリカでございますね。 どうぞお聞きください。出船です。

勿忘草(わすれなぐさ)  don’t forget me

陸奥は外務大臣でしたので外国の歌もお送りしたいと思います。
このわすれなぐさ、原曲の意味は

≪ボクのことを忘れないで、ボクの命は君に結びついているのだから≫
≪いつまでも愛しておくれ、君はずっとボクの心に残っているのだから≫

こんな内容ですが、陸奥宗光が収監された時、美しい妻が他の良からぬものに奪われはしないかと相当心配したんじゃないかと思います。
明治の元勲が、離れて暮らしている妻に don’t forget me と言うとはとても思えないんですが でも、心の内はそうだったんじゃないかと。
そんなことを想像してこの曲を選びました。
歌:イタリア語、歌詞省略
会場録音 勿忘草(わすれなぐさ) (下記の▷クリック)

愛の賛歌
もう一曲外国の歌で「愛の賛歌」を送ります。
フランスのシャンソン歌手、エディット・ピアフ。彼女自身が、恋人を亡くした直後に書いた歌ですが、岩谷時子さんが日本語でつけた歌詞はピアフの原詩とかなり違っています。

原詩の中にあるように「あなたが望むことだったら何だってする、あなたが愛してくれるならこの世のことなんてどうでもいい、神様が愛し合う二人を結びつけてくださるわ」と亮子夫人もそんな気持ちだったんじゃないかと思います。
歌:フランス語、歌詞省略

落葉松(からまつ)   (詩 野上彰、曲 小林秀雄)

野上彰さんが軽井沢で書いた詩。
落葉松は秋になると、雨が降っているようにハラハラハラ・・・ハラハラハラっと音を立てて葉が落ちるんだそうです。秋の雨に私の手が濡れる、夜の雨に私の心が濡れる。
からまつが落ちてゆく林の中を歩きながら、昔のことに想いを馳せて思い出は濡れてゆく・・・。
何よりロマンティックで、陸奥亡きあと美しい亮子夫人が、生前の夫のことを胸に描きながら松林の中を、ひとり散歩している姿を思うと絵になるなと、私も大好きなこの曲を選ばせていただきました。
陸奥亡きあとの亮子に思いをはせながら聞いていただけたらと思います。
会場録音 落葉松(からまつ) (下記の▷クリック)

     ≪落葉松の 秋の雨に  わたしの 手が濡れる≫
      ≪落葉松の 夜の雨に  わたしの 心が濡れる≫
      ≪落葉松の 陽のある雨に  わたしの思い出が濡れる≫
      ≪落葉松の 小鳥の雨に  わたしの乾いた眼が濡れる≫

 アンコール
愛燦燦(美空ひばり)

午後4時過ぎ散会。



プロフィール

略歴:百合道子(ソプラノ)
東京芸術大学大学院修士課程オペラ専攻修了。
1990年初のリサイタル以来、東京を拠点にオペラ、オラトリオの 独唱者としての活動のほか、主に日本歌曲のコンサートで活躍。
2003年より3年間、パリに在住。フランス歌曲の研鑽と、パリ、 バルセロナ等で演奏活動を行う。 オペラから演歌まで幅広いレパートリーと、トークを交えた肩のこらないコンサートには定評がある。2009年より大磯町在住。

略歴:添田千恵子(ピアノ)
埼玉大学教育学部音楽科卒業。
教員を経て、音楽教室主宰。
長年にわたりピアノ個人教授の他、合唱指導に力を注ぎ、入賞に 導く。
カワイ音楽コンクール優秀指導者賞受賞。
カワイ音楽研究会会員。女性合唱団「こいそマザーズ」主宰。大磯町在住。
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                                  (文:佐藤邦康)→メール

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